指示待ち社員問題(講座⑪)が片付いた社長さんの次の悩みは、「どーにも社員が非効率なやり方をやっている。」です。
これも本当に良く聞く話です。
「うちの社員は本当に出来ない。」
「そもそも才能がないのかもしれない。」
「なぜ、あんなに時間が掛かるのか分からない。」
これは管理職と一般社員の間でもよく見られる現象です。
この問題は、社長さんに教えてみたのか確認したら、「一度は伝えた。」「このぐらいは教えるほどのことじゃない」「教えても出来ないよ」と言う方が多いです。
纏めると「教えていない、教えたつもりになっている」というのが原因だと私は考えています。
「同じ事を二度聞きに来る奴は使えない。」「見て盗むんだよ」という一昔前の思想が残っているのかもしれません。
自分の教え方が悪いという発想はなく、理解できない奴が能力不足なんだという風潮は、10年以上前の私の新人時代もネットで蔓延していたように思います。
また、中小企業は新入社員を採用するケースは少なく、中途採用の社員が多いので、即戦力を期待していて、教えるという発想がない方もいるかもしれません。
これを解決する方法は、山本五十六の名言にヒントがあります。先に上げた昭和的な発想と対極(五十六さんも昭和ですが、器の違いかもしれませんが)です。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている姿を感謝で見守り、信頼せねば、人は実らず。
人が実るための始めの言葉は、「やってみせ」です。
私は、これを「やって魅せ」と表現しています。社長さんのやってみせる姿に社員が魅せられたら間違いなく憧れて追いかけてくれます。
その後、見せた作業はマニュアル化し、文章に残しておくことを忘れないようにしてください。注意点は、このマニュアルを社長さん自ら作って欲しいということです。そして、それを社内のマニュアルのテンプレートにしてください。
よくあるのが、マニュアルのテンプレートが無い状態で、マニュアル作成の指示を出すと99%よくわからないものが出来上がってきます。
このマニュアル化は、レベルの高い作業で、社長が最初にマニュアルを作ってあげないと、マニュアルが全然つくられないという悩みにつながります。これは意外に多いんです。
この話をすると、「ええええーーーー、そんなことも出来ないの??」と言われる社長さんも多いですが、社長の当たり前は、社員の当たりまえではないんですね。
ここまですれば、やっぱり社長はすごいなあと部下から尊敬されたり、「さすが社長ですねっ」とかっこいい姿を魅せることもでき、社長への求心力も高まります。
これは、管理職の方も同じです。